FA市場にまだ残る大物選手の去就について書いてみました!
今オフの現状
オフ当初の見立てでは明瞭な再建球団も減ってきたため、売り手有利の市場になるのではと期待していました。しかし、ダイヤモンド・スポーツの破産に伴い、放映権料の不透明性を抱える球団が複数発生。今後の見通しが立たないことから、歳出削減に動く球団も目立つオフとなっています。
一方、そうした事態にもかかわらず、代理人のボラス氏は期限を設けず納得のいくオファーを待つ、従来の姿勢を崩していない様子。その結果、ボラス案件の多くの選手たちがスプリング・トレーニングが始まっても尚、未契約のままという異例の事態に発展しています。
ボラス案件の中でも特に注目を集めているのが、スネル・モンゴメリー・ベリンジャー・M.チャップマンの4選手でしょう。このレベルの選手がこの時期に4人も未契約なのは本当に珍しく、最近では「Boras four (ボラス・フォー)」との総称も米メディアの間で用いられ始めています。
そこで、今回はこの4選手の現状を一度簡単にまとめ、自信や根拠は全くありませんが、移籍先の予想を行っていきたいと思います。
ブレイク・スネル (SP)
年 | 投球回 | 防御率 | K% | BB% |
---|---|---|---|---|
2023 | 180.0 | 2.25 | 31.5% | 13.3% |
通算 | 992.2 | 3.20 | 29.7% | 10.9% |
昨季は2018年以来2度目のサイヤング賞に輝き、FAイヤーに完璧なパフォーマンスを見せました。ただ、与四球の多さから、サイヤング賞投手でありながら低評価を付けられることも度々あり、ここが未契約の大きな理由となっている印象を受けます。また、昨季の成績は出来すぎな面も否めず、再現性に疑問が残っているのも、評価が上がらない一因かもしれません。
とは言え、ハイクラスな先発投手であることに変わりはなく、価格を構わず取れるなら欲しいと思う球団が大半でしょう。流石に、本人希望の年平均3000万ドルの長期契約を出せる球団は市場にほとんど残っていませんが、短期契約なら興味を示す球団は絶対にあるはずです。
移籍先の予想
本命・ジャイアンツ、対抗馬・ヤンキース
契約総額: 3年1億ドル(オプトアウト付き)
ジャイアンツと2年6200万ドル(オプトアウト付き)で契約
ジョーダン・モンゴメリー (SP)
年 | 投球回 | 防御率 | K% | BB% |
---|---|---|---|---|
2023 | 188.2 | 3.20 | 21.4% | 6.2% |
通算 | 755.0 | 3.68 | 22.5% | 6.6% |
エース格としてはほんの少し物足りなさも残りますが、優れた四球率をマークしており、ローテ投手として抜群の安定感を誇ります。所属した何れの球団でも計算できる先発として機能していたのは、大きな魅力と言えるでしょう。
噂ではレンジャーズとの再契約を希望していたようですが、放映権の問題も絡み、結局可能性は低いまま。スネルより金額を要しないので、レンジャーズ以外にも候補は多そうですが、流石に粘り過ぎた印象を受けます。ここまで残ってしまうと、多少の値下げはやはり避けられないでしょう。
移籍先の予想
本命・レッドソックス、対抗馬・エンゼルス
契約総額: 5年1億1500万ドル(オプトアウト付き)
ダイヤモンドバックスと1年2500万ドル(+25 条件付き選手OP)で契約
コディ・ベリンジャー (1B/CF)
年 | 打席 | 打率 | HR | wRC+ |
---|---|---|---|---|
2023 | 556 | .307 | 26 | 134 |
通算 | 3540 | .258 | 178 | 119 |
不調に苦しんだ2019年のMVPは移籍先のカブスで復調を遂げ、超大型契約を狙う。となるはずでしたが、正直長期契約は厳しいのが現状です。
理由としては、やはり成績の再現性に疑問が残っているからでしょう。確かに、不調の原因だった肩の状態は良好に向かい、打率や三振率は改善を見せましたが、長打系の指標は依然低いまま。全盛期と比べると見劣りする部分も多く、今後どの程度の打撃成績を残せるかはまだまだ読めない状態です。また、センター補強が必須なコンテンダーがほとんど見当たらない市場となってしまったため、単年も含む短期契約でもう一度アピールするのが得策ではないでしょうか。
移籍先の予想
本命・カブス、対抗馬・ジャイアンツ
契約総額: 1年2600万ドル
カブスと3年8000万ドル(2つのオプトアウト付き)で契約
マット・チャップマン (3B)
年 | 打席 | 打率 | HR | wRC+ |
---|---|---|---|---|
2023 | 581 | .240 | 17 | 110 |
通算 | 3588 | .240 | 155 | 118 |
アプローチの粗さにより変動は激しいですが、平均以上の打力を残しているスラッガー。そして、売りは何と言っても球界屈指の三塁守備であり、守備力を軸にした高い貢献度を常に記録しています。
ただ、守備型の三塁手に長期契約を提示するのは躊躇われる、というのが市場の正直な反応に見えます。二遊間なら話も変わってくるのですが、ホットコーナーにはやはり安定した強打者を置きたいと、考えている球団も多いのでしょう。また、大物三塁手への投資で失敗している例が幾つかあるのも、影響しているかもしれません。
移籍先の予想
本命・ブルージェイズ、対抗馬・マリナーズ
契約総額: 3年6600万ドル(オプトアウト付き)
ジャイアンツと3年5400万ドル(2つのオプトアウト付き)で契約