ドラフト2025の大学生投手を紹介!
大学生投手の注目候補を12選手ピックアップしました。また、各候補毎に指名順位の予想も追記しています。
※候補の基本情報は以下の並び。
利き腕、所属、身長、最高球速
身長や最高球速については媒体によって誤差もあるため、あくまで参考程度に受け取って下さい。
中西聖輝
右投、青山学院大、182cm、最速152km
ハイブリッドな大学生No.1投手
個人的なイメージはモダン化された西勇輝 (阪神)。西の名前を出したように、多彩な引き出しと優れた制球力が魅力で、手堅いゲームメイクを見せる先発右腕です。加えて、182cmの身長や今年更に向上した出力も有しており、現代的なポテンシャルを秘めているのも楽しみなところ。この手堅さとスケール感のハイブリットを受け、大学生No.1投手だと自分は評価しています。
プロ側の評価の鍵を握るのは、スケール感の判断でしょうか。本質は変化球投手であり、まずはフォークを中心に変化球で空振りを奪えるのが前提となります。加えて、そこに出力向上中の速球が合わさることで、どこまでスケールアップできるのかが吟味されそうです。完成度が高い故に、伸び代が低く見られがちなタイプにも映るため、最上位の評価を下す球団は、意外と限られるかもしれません。
予想順位:1位確実
最初の入札で競合するイメージはあまり浮かびませんが、即戦力投手を求める球団が一本釣りを画策する可能性は大いにあり得るでしょう。
堀越啓太
右投、東北福祉大、184cm、最速157km
圧倒的なスケール感は健在も
大学1年次の頃から150km超えを連発し、自主トレでは160km以上を記録したこともあるロマン株。プロ入り後も彼の名前は球速とともに報じられること間違いなしの、正真正銘の剛腕です。ただ、このスケール感は全く錆び付いていないものの、実戦的な部分が中々確立できていないのは、彼への評価を難しくしています。
注目点は先発投手としての可能性であり、そこへの問題となるのはバリエーション、ずばりフォークの精度です。本来のスリークォーターから腕のアングルを上げるなど、試行錯誤しているのですが、その過程で右肩の不調をもたらしたように一進一退の様相が続き、フォークを完全にマスターしたとは言えない状態で止まっています。剛速球とスライダー系はすでに高質を有しているため、守護神候補としても十分期待できるのですが、やはり先発投手としてのロマンは捨て切れず。秋のラストチャンスで、前進した姿が見られることを祈るばかりです。
予想順位:外れ1位が濃厚
自分は今でも1位で指名されるのは濃厚と見ているのですが、本来は断言させて欲しい存在なだけに、歯痒さも覚えます。
島田舜也
右投、東洋大、184cm、最速155km
堀越に準ずるポテンシャル
積んでいるエンジンは堀越啓太に準ずるものがあり、それでいて複数の変化球も操れているところが彼の魅力。球速は劣りますが、変化球のバリエーションを考慮すると、堀越よりも先発投手で期待しやすい素材に映ります。
一方、課題に挙がるのは制球面。昨年の途中からシンプルなデリバリーにフォーム変更し、改善も見られていたのですが、今年はまた制球難に逆戻りとなってしまいました。(今年から東洋大が東都1部に復帰し、レベルが上がったことも影響しているかもしれませんが。)この再現性への苦しみは、木更津総合高校の1年先輩・篠木健太郎 (DeNA・25年2位)に通ずるものを感じます。ただ、この篠木が再現性の問題を覆い隠す尖りを、プロで発揮しているので、島田にも同様の流れを期待。やはり彼のポテンシャルを見れば、上位評価は固いでしょう。
予想順位:外れ1位~2位中盤
今年の上位候補が薄いことを踏まえると、篠木 (昨年の20番目)より早く呼ばれる可能性が高いと見ています。
櫻井頼之介
右投、東北福祉大、175cm、最速153km
タレント集団のエース右腕
同学年には上述の堀越啓太、1学年下には猪俣駿太など、大学屈指のタレント投手陣の中で、エースを張っているのがこの櫻井です。スケール感は劣りますが、先発投手としての安定感は彼に軍配が上がり、リーグ戦や全国大会だけでなく、大学代表でも大事な場面を任せられる存在となっています。
175cmの身長ながら、彼の本質は速球派投手。球威だけでなく、両コーナーに投げ分けられる制球力もあり、真っすぐで押せるのが彼の魅力です。一方、変化球に関しては引き出しを有しているものの、制球が徹底できていない点は気になるところ。特に、対左への対処にはまだ課題を感じます。このように、変化球の精度に修正が必要なことから、ハイフロアな候補とまでは推せない印象も受けるため、プロ側の評価は少し伸び悩むかもしれません。
予想順位:外れ1位~2位
2位までには指名されると思いますが、外れ1位の可能性は強く断言できない感じも受けます。
齊藤汰直
右投、亜細亜大、183cm、最速152km
フォークが武器の本格派
オーバースローから放たれる、ストレートとフォークのコンビネーションが大きな武器。特に、フォークは今年から導入した新球種とは思えない成長ぶりを見せており、早くも齊藤の代名詞となりつつあります。投球スタイルのベースが出来上がったことで、無難な選択肢として上位候補に挙がるでしょう。
彼の注目点もまた先発投手としての可能性となりそうです。亜細亜大らしく引き出しも有していますが、やはりストレートとフォークの2球種が際立ってしまう印象を受けます。ただ、制球面で崩れる感じもしないため、スライダー系さえもう少し上げられれば、先発投手としての可能性も十分見えてくるでしょう。リリーフとして計算可能な手堅い要素を有しながら、伸び代もある面白い投手だと思います。
予想順位:外れ1位~2位
櫻井と同様に2位までは固くとも、それ以上は流動的な感じを受けます。
藤原聡大
右投、花園大、177cm、最速155km
関西が誇るドクターK
元々、関西の大学生投手では1,2番手に挙がる候補でしたが、夏に更なる飛躍をアピール。中1日で連続2桁奪三振を記録するなど、支配力が増した投球を見せてくれました。プロのスカウトからは則本昂大 (楽天)に例えられるほど、力投が印象的な候補となっています。
ただ、躍動感のあるフォームやスライダーが軸のピッチ構成を踏まえると、個人的にはリリーフ向きにも感じます。また、制球面への不安は完全に払拭されたとは言えず、夏とは一転春は不安定だった点も見逃せません。尖った部分は他の大学生投手に見劣りしないレベルに上がりましたが、不安定な要素をまだ抱えているため、人によっては評価が分かれる候補かもしれません。
予想順位:2位前後
2位で指名されるラインまでには上がってきたと思いますが、1位候補にはまだ推し切れない印象です。
伊藤樹
右投、早稲田大、176cm、最速152km
六大学を代表するゲームメイカー
かつてはスーパー中学生と呼ばれた投手が、今や六大学を代表する先発投手にまで成長。速球のシュート回転や豊富な変化球を巧みに駆使する、クレバーなゲームメイクを見せる投手です。加えて、出力面での成長も着実に見せており、プロでもやって行けるレベルに達しつつあると思います。
ただ、プロ相手に絶対通用すると評せる武器が少し見られないのは、悩みの種となりそうです。打球管理の徹底がプロで活躍する鍵と見ていますが、それと同時に、ボールの飛び方など環境にも左右されるタイプに感じます。とは言え、スケール感の物足りなさを完成度で補っていけるタイプだと期待できるので、先発投手に困っている球団からは間違いなく注目候補に挙がるでしょう。
予想順位:3位前後
投手ドラフトに動く球団が何球団になるかで、指名順位も変わってくるでしょう。
高須大雅
右投、明治大、193cm、最速153km
肩肘の状態に苦しむ長身右腕
本来は大学生投手No.1の座を争わなければいけない逸材なのですが、今年は故障に悩まされています。昨秋に右肘靭帯を損傷し、最近では肩の状態も芳しくないとのことです。加えて、独特なテイクバックからショートアームへのフォーム変更も試みており、健康面だけでなく投球感覚の予後も心配されます。
右肘靭帯に関しては保存療法で挑んでいると思いますが、損傷具合によっては遅かれ早かれ手術は避けられないでしょう。この辺りの事情は各球団のスカウトが血眼で探っていると思います。角度のある速球とフォークのコンビネーションを軸にした、支配的な投球を取り戻せれば、評価の揺り戻しは十分考えられますが、現状はスリップしてしまう可能性の方が高いように感じます。
予想順位:3位前後
素材集めに徹する球団が2位で確保する可能性もあり得ますが、基本的には諸々のリスクを考慮し、3位以降と見ています。
髙木快大
右投、中京大、180cm、最速153km
健康なら大学屈指のイニングイーター
大学生を代表する先発候補として期待されていたのですが、彼もまた故障に苦しんでいるようです。昨秋に受けた右肘の手術からは今春に復帰していましたが、全日本大学選手権で登板なしに終わるなど、春季リーグ後は登板した気配がありません。
オーバースローと回転量が多い直球の組み合わせは森下暢仁 (広島)を彷彿とさせ、本来なら大学屈指のイニングイーターとして1位候補にも挙げられる投手でした。しかし、高須大雅以上に健康面の情報が分からない現状では、詳細な評価が難しい候補となっています。
予想順位:3位前後
同様に健康面に不安を抱えたままなら、高須より後の指名になるとは思いますが、中位で確保できたら美味しい素材に違いはありません。
毛利海大
左投、明治大、177cm、最速150km
急上昇中の先発左腕
今春に初めて六大学のベストナインに輝くと、日米大学野球選手権では獅子奮迅の活躍を見せ、最優秀投手賞を受賞。基本的には先発投手で期待したい候補ですが、リリーフでの躍動も見せたように、非常に使い勝手の良さを有す即戦力左腕です。
キレの良い直球に加え、チェンジアップやカーブと縦の変化球も良いものを持っている一方、スライダー系にはまだ物足りなさも。ただ、後はここさえ伸ばせれば、プロでも十分に先発投手を務められる素材です。出力面での伸び代もそこまで見込めませんが、その代わりに球質の向上やタイミングをずらすといった投球術でのカバーが期待可能。エース級の活躍は少し酷かもしれませんが、早期からの戦力化が計算できる左腕は、やはり希少な存在と言えるでしょう。
予想順位:外れ1位~2位前半
基本的には1位で消える候補だと見ていますが、野手や素材型の指名に動く球団が多かった場合は、2位まで残る可能性も若干有しています。
山城京平
左投、亜細亜大、174cm、最速154km
琉球左腕の系譜を継ぐ剛腕
今ドラフトの左腕候補で、1番ロマンを抱ける投手です。やはり真っすぐが目を惹き、まだ変化球に緩さを残していますが、その弱点さえ埋められるほどの球威を誇っています。また、少し捻るフォームには島袋洋奨 (元ソフトバンク)の面影、本人が参考にしているのは興南高校の先輩・宮城大弥 (オリックス)といったように、沖縄出身左腕の系譜を存分に継いでいるのも楽しみなところです。
一方、荒い投球も目立つため、課題はまだまだ多いです。大学では直球で押すスタイルで結果を残してきましたが、今後は制球面の向上や変化球の強度が必要不可欠となり、こういった実戦的な部分を養えるのかが大きな鍵を握るでしょう。とは言え、長短含め大学の先輩・髙橋遥人 (阪神)に通ずるものがあり、その髙橋が球界屈指のクオリティを披露しているとなれば、山城にも同様のインパクトを期待したくなります。投手育成に自信のある球団なら、是非狙って欲しい逸材です。
予想順位:外れ1位~2位
1位で指名されるべき素材だと期待していますが、投手育成に自信のある球団がそこまで多いとも感じないため、2位まで残ってしまう展開もあり得るでしょう。
渡邉一生
左投、仙台大、170cm、最速152km
気迫溢れるチェンジアップ使い
高校時代には投手への拘りから退部を選択し、クラブチーム・BBCスカイホークス (現GXA〃)でプレーしたこともある異色の経歴の持ち主。また、気迫溢れる投球を見せる熱い投手でもあります。これらのメンタリティはプロ向きに感じ、スター性も有した候補ではないでしょうか。
一方、気になるのは健康面。今春は手術後とは感じさせない順調なスタートを見せたものの、その後に背中痛や体重管理に苦心し、フォームを崩す形で春を終えてしまいました。代名詞のチェンジアップは相変わらず猛威を振るい、加えてカーブ系の使い方や出力面での成長も見られていただけに、その完成形を今年アピールできていないのは悔しい限りです。大学3年次に無双していたように、タイプは異なりますが山城京平に準ずるポテンシャルを見せていたので、依然として上位候補に変わりはありません。ただ、不安定な部分を残したままでは、プロ側の評価も難しくなってしまうでしょう。
予想順位:2位以降
2位で確保出来たら美味しい投手だと期待していますが、新たなアピールが出てこなければ、3位以降にスリップする可能性も有しています。