今回はMLB オプトアウトの行使についてまとめました。カブス所属のダルビッシュも権利を有しており、その動向が注目されていました。
オプトアウトとは?
オプトアウトとは複数年契約の途中で選手の判断により契約を破棄できる権利のことです。この権利を行使した場合はFAとなり他球団と自由に交渉できるようになります。ただし、この権利は必ずしも行使する必要はなく、現行の契約で満足している場合は行使しないと選択することも可能です。
オプトアウト権の所有選手一覧
2019年シーズン終了後にオプトアウト権を所有する選手は以下の8選手です。特に動向が注目されていた選手は太字で表しました。
選手 | チーム | 守備 | 残りの契約 |
---|---|---|---|
ダルビッシュ有 | カブス | SP・右 | 4年8100万ドル |
スティーブン・ストラスバーグ | ナショナルズ | SP・右 | 4年1億ドル |
J.D.マルティネス | レッドソックス | 外野手 | 3年6250万ドル |
アロルディス・チャップマン | ヤンキース | RP・左 | 2年3000万ドル |
ケンリー・ジャンセン | ドジャース | RP・右 | 2年3800万ドル |
ジェイク・アリエッタ | フィリーズ | SP・右 | 1年2000万ドル |
エルビス・アンドラス | レンジャーズ | 遊撃手 | 3年4375万ドル |
ジェイソン・ヘイワード | カブス | 外野 | 4年8600万ドル |
オプトアウトの行使は?
ダルビッシュ有
行使せず残留。
登板 | 投球回 | 勝 | 敗 | 防御率 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|
31 | 178.2 | 6 | 8 | 3.98 | 1.10 |
シーズン前半は精彩を欠く投球が度々見られましたが、後半に入るとまるで別人のように安定し圧倒的な成績を残しました。後半の投球を見ればさらなる大型契約の可能性もありそうでしたが、オプトアウトは行使せずカブスへの残留を決断しました。
やはりここ数年の不調や年齢の問題を不安視する声がまだ根強くあるため、現行以上の契約を手に入れられるかは不透明だったと思います。
スティーブン・ストラスバーグ
行使。
登板 | 投球回 | 勝 | 敗 | 防御率 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|
33 | 209 | 18 | 6 | 3.32 | 1.04 |
ワールドシリーズ制覇の立役者であり、自身2度目の200投球回を記録するなどストラスバーグ自身にとって最高のシーズンだったと思います。まだ総額1億ドルの契約は残っていますが、オプトアウトの行使を決断しました。
実力はもちろんトップクラスの投手なので現行以上の契約を勝ち取れる可能性は高いです。ただ、故障の多い投手なだけに数年後には不良債権となるリスクもあり、球団によっては評価が分かれる投手でもあります。
J.D.マルティネス
行使せず残留。
打席 | 打率 | HR | 打点 | 出塁率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|
657 | .304 | 36 | 105 | .383 | .939 |
昨年よりは成績を下げたものの、今年もチームの主軸としての役割を全うしました。ただ、実質DH専任となりつつある現状では需要がある球団が少いため、オプトアウトは行使せずレッドソックスへの残留を決断しました。
レッドソックスは贅沢税回避のためしばらくは緊縮モードに入る予定です。よって、今オフは何人かの主力が退団する可能性が高く、その中でもベッツとJDの処遇は特に注目を浴びています。両者をチームに留めておくのが難しい状況のため、JDの決断によってベッツをトレードで放出する可能性がかなり高くなりました。
アロルディス・チャップマン
行使せず残留&+1年の契約更新。
登板 | 投球回 | 勝 | 敗 | S | 防御率 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
60 | 57 | 3 | 2 | 37 | 2.21 | 1.11 |
5年契約の内3年が経過しましたが、何れの年でも守護神として君臨しておりヤンキースとしては欠かすことのできない投手です。チャップマン自身もチームに愛着があるため、オプトアウトは行使せず残留を決断しました。また、残りの契約に1年1800万ドルを加える契約延長にも同意し、残りの契約は3年4800万となり2022年までヤンキースでプレイすることが決まりました。
今オフのヤンキースはエース級の先発獲得が至上命題ですが、現状はあまり明るくありません。エース級の獲得に失敗した場合に備え、強力なブルペン陣を維持する必要があるためチャップマンの残留はとても大きいです。
ケンリー・ジャンセン
行使せず残留。
登板 | 投球回 | 勝 | 敗 | S | 防御率 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|
62 | 63 | 5 | 3 | 33 | 3.71 | 1.06 |
数年前のように絶対的な守護神とは言えませんが、勝ちパターンが中々安定しなかったドジャースにとってはまだまだ必要な戦力です。ジャンセンも衰えが顕著な現状では高額な契約は望めないので、オプトアウトを行使せず残留したことはお互いにとってウィンウィンだと思います。
ジェイク・アリエッタ
行使せず残留。
登板 | 投球回 | 勝 | 敗 | 防御率 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|
24 | 135.2 | 8 | 8 | 4.64 | 1.47 |
今年は故障があったとはいえ、それを差し引いても十分な成績とは言えません。2015年のサイヤング賞投手ですが、2016年以降からは年々成績が悪化しています。現状厳しい評価が多いので、行使せずに残留するしか選択肢はなかったと思います。
エルビス・アンドラス
行使せず残留。
打席 | 打率 | HR | 打点 | 出塁率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|
648 | .275 | 12 | 72 | .313 | .707 |
若手時代から期待されていた選手なだけに早めの長期契約となりましたが、現状は微妙な結果となっています。2016、17年はともにOPS8割を超えリーグトップクラスの遊撃手となりました。しかし、昨年は怪我に悩まされ、今年はほぼフルシーズン出場したものの16、17年と比べると見劣りする成績で終わりました。現行以上の契約を貰える可能性は低い状況なので、オプトアウトは行使せず残留を決断しました。
ジェイソン・ヘイワード
行使せず残留。
打席 | 打率 | HR | 打点 | 出塁率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|
589 | .251 | 21 | 62 | .343 | .772 |
上記の7選手は無条件でオプトアウトの権利を獲得できましたが、ヘイワードは550打席以上の条件付きでした。ここ2年は500打席以下に終わったものの、今年は589打席に立ちオプトアウトの権利を獲得できました。
守備型の選手としてOPS.772は立派ですが、肝心の守備で衰えが見え始めています。よって、現行以上の契約を貰える可能性は低い状況なので、オプトアウトは行使せず残留を決断しました。